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2015年、シネマバトルロイヤルの
バトラーとして参加してきました。

選んだ映画は『ベルリン・天使の詩』。

他の方たちは淀みないトークで場を沸かせ、
またマニアックすぎる作品ばかり
(若干引きながら)で面白かった。

いざ自分の番になると、しどろもどろに
なっちゃって練習通りにはいかなかった。

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ドイツの映画監督ヴィム・ヴェンダースの
『ベルリン・天使の詩』 英: Wings of Desireは、
1987年公開のフランス、西ドイツ合作の作品。

第二次世界大戦やヒトラーによる大虐殺、
東と西に分断されたドイツの政治的・歴史的背景を
ベースにしている社会派のヒューマンファンタジーで、
哲学的要素を織り交ぜたもの。

一見難しそうだけれど、内容はシンプルで素朴。

※ベルリンの壁が東西ベルリン市民によって
破壊開始されたのは1989年11月10日、この映画が公開された2年後


人間のあらゆるドラマを見守る天使たちと
自分の体の重さや悩み・苦しみの中、
淡々と懸命に生きていく人々。

しかし永遠の命よりも人になることを願い、
愛を見つけ人間として生きることになった元・天使の話で

一般的に、天使をイメージするとき
美しい女性や、背中に羽根の生えたおなかぽっこりの
可愛らしい裸の子供を連想するかとおもいますが、
今回の主役である天使たちの多くは、中年の男性たち。

服装は重そうなロングコート(ヨージ・ヤマモト)を
着用し、決して軽やかな印象はない。


・・・・・

守護天使ダミエル(ブルーノ・ガンツ)と
親友カシエル(オットー・ザンダー)はベルリンの塔の上、
飛行機の中、図書館、街中などあらゆる場所で人々を見守ってきた。

天使の姿は大人には見えないが、子供には見える。老女にも。

とことん落ち込み傷つき、破れかぶれになるときや
死にゆく人の心の乱れを察し、天使がそっと彼らの肩を抱き寄り添うと
ふっと心が軽くなったり、希望を見出し明るい方向へ目を向けられる。

時には、天使であっても無力を痛感することもあるけれど。


ある日、ダミエルはサーカスの空中ブランコ乗りの美女マリオンに
一目惚れする。永遠であることにうんざりしていたダミエルは
人間になることを決心する。

ピーター・フォークは本人役で出演していて
大きな意味を担っているけれど、それは秘密。

※フォークがイラストを描くシーンはすべてアドリブ

この映像でわかりやすいのは
モノクロの部分は天使の世界と視点、
カラーの部分は今私たちのいる現実世界の視点。


はじまって13分ごろのダミエルの言葉:
「霊として生きるのはすばらしい 人々の心に霊を気付かせる 
でも霊でいることにうんざりすることもある

永劫の時に漂うよりも 自分の重さを感じたい 
僕を大地に縛り付ける重さを」


その返答 カシエル:
「いや 孤独に何があろうと真摯であれ 
真摯でなければ荒れ狂うこともできない

ただ見守り集め証言し、守るだけでいい 
霊でいよう 距離を保ち言葉でいよう」 


それでもマリオンへの愛を優先するダミエル。


天使から人となる時、天使の鎧を脱ぎ捨てる。
横たわった彼の頭にそれが落ちてきて、頭を怪我して出血。

その血を舐め、「これか!」と感動し
色のない世界からはじめて見た色に驚き
通りかかった男性に何度も色を訊ね新たな知識を得る。
ついでに通りがかりの彼はちょっとしたお金をめぐんでくれる。
(いい人ですね)

天使の鎧をアンティークショップで売り、
そのお金で別のコートと帽子と時計を手に入れる。

黒のロングコートはショート丈チェック柄の軽快なもの
帽子はピーター・フォークのように
時計は初めて時を手に入れた証。
ここから、永遠だった「時間」が目減りしていく。


人間となり、はじめて口にしたのは
ピーター・フォークの教えてくれたブラックコーヒー!
それを飲み、手をこすり合わせ冷えた手指を温める。

これこそが人間。

そして誰かを探す時、自分の足で散々歩きまわる。
天使であれば、すぐにそこへいけたのに。
それですら彼にとっては喜び。

想い出の場所で愛する女性マリオンと出会い、
ふたりは生涯の伴侶となる。


ラスト。
天井からぶらさげたロープを使い、マリオンは空中での
演技の練習をしている。その下でロープをあやつり
サポートしているのが、人間となったダミエル。

羽根をつけ重力を感じながら鳥のように演じる人間を
かつては羽根があり、人の頭より上にいた彼が、
生粋の人間を助けている。そのシーンは二つの世界の象徴。


最後は最初と同じ、ダミエルの詩で終わる。
はじめは天使であり、俯瞰からのことばが
人間になって生身の体から発する今の言葉。

「僕は今、知っている いかなる天使も知らないことを」


・・・・・・・・


落ち込んだ時、
どうにもならなくなったとき、
あなたの肩に手を置く天使がいる。

きっと。必ず。




















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