今月のイメージシネマは

『サムライ』




美しきフィルム・ノワールの頂点。

暗殺者であるジェフ（アラン・ドロン）は
常に人目につかず密やかな仕事をするのだが、
あるときピアノ弾きの女性に現場を見られてしまう。

自分も追われるが、
まず先に彼女を殺らなければならない。

その危険性を感じるも、彼女はおとりとなり
対面したときは冷静だった。

そして丸腰のジェフ、無用な殺しはしない
武士道の精神での死。

最後まで記憶に残るほど素晴らしい。

イメージカラーはメルヴィル・ブルー。

監督・俳優、脚本家の
ジャン＝ピエール・メルヴィルが
多用する独特の鉛がかった灰青色。


タイトルもさることながら、オープニングでは
『武士道』の一説を白抜き文字で紹介し、
当時憧れであった（かもしれない）外国から
見た日本の精神をリスペクトするようだった。